まどか「ごちそうさまでした!」

ほむら「ごちそうさまでした」

まどか「すっごく美味しかったよ、ほむらちゃん」

ほむら「ふふっ、良かった」

まどか「お腹一杯になったら眠くなっちゃった」

まどか「えへへ、炬燵でゴロゴロしちゃおーっと」

ほむら「もう、食べてすぐ横になると牛さんになっちゃうわよ?」

まどか「概念だから平気だもーん」

ほむら「まったくもう」クスッ

まどか「ねっ?ほむらちゃんも一緒にゴロゴロしよう?」

ほむら「…今日だけよ?」

まどか「うんっ、ほらここだよ」

ほむら「おじゃまします」

まどか「えへへ」

ほむら「ふふっ、あったかい」

まどか「ほむらちゃーん」ダキッ

ほむら「もう、まどかったら」

まどか「ほむらちゃん、ぽかぽかしてて気持ちいい」

ほむら「そう、良かったわ」クスッ

まどか「えへへ、ほむらちゃん」ニコニコ

ほむら「あっ、もう紅白が始まってるわね」

ほむら「一緒に見よう?」

まどか「んー、私はいいかな」

ほむら「えっ?じゃあ笑ってはいけない?」

まどか「ううん、そうじゃなくってね?」

ギュッ

ほむら「あっ…」

まどか「こうやってほむらちゃんの側にいたいな……」

まどか「私が見たいのはテレビじゃなくて、ほむらちゃんだもん」

ほむら「まどか…」

まどか「えへへ」

ほむら「うん…そうね、私もテレビじゃなくてまどかを見ていたい…」

ほむら「いっそのこと、ずっとこうやってくっついちゃおっか?」

まどか「うんっ!ほむらちゃーん!」ギュー

ほむら「ふふっ」

まどか「えへへっ」


―――

まどか「……」ギュー

ほむら「……」ギュー

まどか「あったかいね」

ほむら「うん…でも汗かいてきたかも……」

ほむら「わ、私…汗臭くないかしら?」

ほむら「ど、どうしよう…」

まどか「ふふ、安心して?ほむらちゃんはすっごく良い匂いがするよ」

ほむら「そ、そう?良かった…」

ほむら「でもどの道汗を洗い流さなきゃ…」

まどか「お風呂?」

ほむら「ええ、まどかから先に入る?」

まどか「ううん」

ほむら「じゃあ私から入ってもいいの?」

まどか「ううん」

ほむら「えっ?」

まどか「一緒に入ろう?」

ほむら「えぇっ?で、でも…」

まどか「大丈夫、私は概念だから恥ずかしくなんかないよ?」

ほむら「ほ、ほんとにそう…?」

まどか「うん」

ほむら「な、なら…は、入ろう…っか…?」

まどか「うんっ!」

―――

チャポン

まどか「あったかいね、ほむらちゃん」

ほむら「う、うん…!」ドキドキ

まどか「ほむらちゃんと一緒にお風呂に入れてすっごく嬉しいよ!」

ほむら「う、うん…!」ドキドキ

まどか「お風呂もほむらちゃんもあったかい」ピト

ほむら「っ~!」

ほむら「ご、ごめんなさい!やっぱり狭いわよね?」

ほむら「さ、先に上がるわ!」

まどか「あっ…」シュン

ほむら「ごめんなさ…」

まどか「……」ギュッ

ほむら「まどか…?」

まどか「もっと…一緒にいたいな……」

ほむら「………」

まどか「……」ギュッ

ほむら「…うん、そうよね」チャプ

まどか「ほむらちゃん…!」パアッ

ほむら「ごめんね、私ったら恥ずかしがっちゃって」

まどか「ううん、そんな!」

ほむら「もう暫く二人で入っとこう?」

まどか「うんっ!」

まどか「あっ、そうだ!ほむらちゃんの髪の毛、私に洗わせて?」

ほむら「そう?ならせっかくだしお願いしちゃおうかしら?」

まどか「よーし、任せてよ!」

ほむら「まどかの髪は私に任せて?」

まどか「やったぁ、ありがとう。でも今の私はほむらちゃんより長いから大変だよ?」

ほむら「大丈夫、洗いがいがあるわ」

まどか「えへへっ」ニコッ

ほむら「ふふっ」ニコッ

―――

ゴーン…ゴーン…

ほむら「今年もあと少しで終わるわね」

まどか「うん……」

ほむら「今年も色んなことがあったわ」

ほむら「魔獣との戦いは決して楽なものではないわ」

ほむら「でも、巴さんや杏子とも仲良くなれて嬉しいの」

ほむら「他にも楽しいこともたくさんあったわ」

まどか「……」

ほむら「でも、やっぱり心の中で寂しさを隠しきれなかった」

ほむら「それは…まどか、あなたと会えなかったから」

まどか「ほむらちゃん……」

ほむら「あなたに会いたくて会いたくてしかたがなかった」

ほむら「あなたの姿を見たかった」

ほむら「あなたの声を聞きたかった」

ほむら「そして…あなたの笑顔を見たかった」

ほむら「あなたと一緒に笑いたかった」

ほむら(そう…去年の私はただただ泣いてしまうだけで)

ほむら(まどかとまともに話すことすらできなかった)

ほむら(そして帰る時まどかが見せた表情がとても悲しそうだったのは)

ほむら(私が泣いてしまったせい……)

ほむら(だから、今年はまどかを悲しませたくない)

ほむら(まどかには笑顔で帰って貰いたい)

ほむら(だから私はもう泣かない)

ほむら(それに……)

まどか「……」

ほむら「まどか」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「私ね?今…とっても幸せよ」

ほむら「あなたと一緒にいることができて、本当に幸せなの」

まどか「ほむらちゃんっ…!」

ほむら「まどか、本当にありがとう」

まどか「私も…私もすっごく幸せだよっ…!」

まどか「ほむらちゃんと会えて本当の本当に嬉しいもん……」

ほむら「ふふっ、ありがとう」

まどか「………」

「カウントダウンです」

ほむら「あっ、見てまどか?もうすぐ年があけるわよ」

まどか「うん……」

ほむら「まどか、今日は本当にありがとう」

まどか「うん…」

「3」

ほむら「そしてこれからもよろしくね?」

「2」

まどか「うんっ…!」

「1」

ほむら「あけましておめでとう!まどか!」

まどか「あけましておめでとう…ほむらちゃんっ…!」

ほむら「ねっ、まどか?さっそくだけど私の今年の夢を聞いてくれないかしら?」

まどか「夢?うん、いいよ」

ほむら「まどか、一緒に初日の出を見に行こう?」

まどか「初日の出?」

ほむら「ええ、二人で一緒にね」

まどか「……でも、私は…」

ほむら「まどかの帰らなきゃいけない時間が日が上る時なのはわかってるわ」

ほむら「それを分かった上でお願いしたいの」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「私の夢はね?笑ってまどかと別れること」

まどか「…!」

ほむら「そして笑ってまどかと再開することよ」

まどか「……えへへ…そっか」

ほむら「去年のように泣いて別れるだなんてことは嫌よ」

ほむら「笑ってまどかと別れたい」

ほむら「初日の出を一緒に見ながら…ね」

まどか「………」

ほむら「まどか、私の夢を叶えてくれる?」

まどか「……うん!任せてよ!」

まどか「私も笑ってほむらちゃんとお別れしたいもん!」

まどか「もう泣きたくなんかないよ……」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「…えへへ」ニコッ

ほむら「ふふっ」ニコッ

―――

ほむら「ど、どう?似合う…?」

まどか「うんっ!すっごく可愛いよ、ほむらちゃんの晴れ着姿!」

ほむら「そう、良かった…」

まどか「ねっ、私はどうかな?」

ほむら「うん、とっても可愛いわ、100点満点よ」

まどか「えへへ、やったぁ」

ほむら「それにしてもまどかは魔法で晴れ着姿に変身できるのね」

まどか「ううん、魔法じゃないよ?こっそり持ってきてたの」

ほむら「えっ?そうなの?」

まどか「うん、私もほむらちゃんと初日の出を見に行きたかったの」

ほむら「ふふ、そっか」

まどか「本当はそのまま初詣にも行きたかったんだけどな……」ボソッ

ほむら「まどか……」

まどか「…ほむらちゃん、そろそろ出掛けよう?」

ほむら「…ええ、そうね」

ほむら「でもこの格好じゃ流石に冷えるわね…困ったわ」

まどか「マフラーや手袋はないの?」

ほむら「あるけど…一人分しかないわ」

ほむら「私は大丈夫だから、まどかが使って?」

まどか「ううん、私一人だけなんて嫌だよ」

ほむら「でも…」

まどか「こうしよう?マフラーと手袋貸して?」

ほむら「?…はい」

まどか「マフラーをこうやって…」ピト

ほむら「あっ…」

まどか「手袋は片方ずつ、はいほむらちゃんの分」

まどか「そしてもう片方の手で…」ギュッ

ほむら「ま、まどかぁ」

まどか「えへへ、これであったかあったかだね」

ほむら「うん…!」

まどか「えへへっ」

ほむら「それじゃあ、行こっか?」

まどか「うんっ!」

―――

まどか「わぁ…すごーい!」

ほむら「どう?見滝原がよく見えるでしょう?」

まどか「うん!ここなら初日の出もよく見えるよ」

まどか「………」

ほむら「でしょ?魔獣と戦っている時にキュゥべえと見つけたの」

まどか「………」

ほむら「もう外が明るくなってきたわね」

ほむら「もう少しで日が上る……」

ほむら「……あなたとまた会えなくなることは辛いわ」

ほむら「でも、私はもう泣かない」

ほむら「笑って別れるって決めたもの」

ほむら「だから、まどか…去年のようにあなたに悲しい思いはさせないわ」

ほむら「笑顔であなたを見送って見せるから」

ほむら「だから…」

まどか「………」ブルブル

ほむら「まどか…どうしたの?寒いの?大丈夫?」

まどか「…ぅ…っ…うぅぅ……」ブルブル

ほむら「まどか…?」

まどか「ぐす…ごめ…んね…ほむらちゃ……」

ほむら「まどか……」

まどか「…わた…ぐすっ……ほむら…ちゃの…夢…かなえられないよ……」

ほむら「……」

まどか「嫌だよ…嫌だぁ…ほむらちゃんとお別れなんて…ぐすっ……」

まどか「したくないよぉ…もっと一緒にいたいよぉ……」

まどか「去年だって…私…ずっと泣いてたの……」

まどか「ほむらちゃんと一緒にずっとずっと……」

ほむら「まどか…」

まどか「帰る時も…帰るのが嫌で嫌でしょうがなくって……」

まどか「でも帰らなきゃ…さやかちゃんが…魔法少女のみんなに迷惑かけちゃうから……」

まどか「うぅぅっ…だけど…それでも嫌だよぉ…」

まどか「ほむらちゃん……」ダキッ

ほむら「……まどか」

まどか「ぐすっ…ひっく…うぅぅ……」

ほむら「……」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「まどか…」チュッ

まどか「……!!」

ほむら「…えへへ、私のファーストキスよ」

まどか「ほむらちゃん…」

ほむら「私だってまどかと別れることは本当に寂しいわ」

ほむら「でもね?また会うことができるの」

ほむら「永遠に会えなくなるわけじゃないんだよ?」

まどか「……」

ほむら「だから、まどか…二人で頑張ろう?」

ほむら「今年も来年もその次もずっとずっと」

ほむら「私たちはまた会えるから…!」

ほむら「だから、私はまどかを笑顔で見送るって決めたの」

ほむら「毎年毎年、ずっと…ずっとね」

ほむら「私はあなたが大好きだから」

ほむら「まどか…!」ニコッ

まどか「ほむらちゃん…ほむらちゃんっ!」ダキッ

まどか「うん…また会いに来るから…毎年毎年ずっとずっと会いに来るから…!」

まどか「だからほむらちゃんにさよならなんて言わないもん!」

まどか「また絶対に会いに来るもん…」

まどか「また一緒にご飯を食べて、一緒にお風呂に入って」

まどか「いっぱい遊んで、いっぱい笑って…!」

ほむら「うん…!」

まどか「えへへっ…約束だよ?」

ほむら「うんっ!」

まどか「ありがとう…ほむらちゃん」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「ぐす…えへへ、まだ話したいことたくさんあるのに」

まどか「もう時間がないみたい」

ほむら「……うん」

まどか「…最後に、私の一番の気持ち…聞いてもらえないかな?」

ほむら「……ええ」

まどか「ほむらちゃん」

まどか「大好き」チュッ

ほむら「………えへ」

ほむら「私もよ」

ほむら(私は一生この初日の出を忘れないでしょう)

ほむら(初日の出の綺麗さを、まだ肌に残る暖かさを)

ほむら(そしてこの心の温もりを)

ほむら(これは私とまどかの物語)

ほむら(永遠のお別れではなく)

ほむら(二人で歩む新たな始まりの物語)

ほむら(こうして私の一年は走り出した)

ほむら(まどかと共に)

ほむら「大好き」

おわり