ほむら「ふふふふ……」

ほむら(私の名前は暁美ほむら)

ほむら(またの名を魔なる者……)

ほむら(神にも等しい聖なる者を蝕んだ者)

ほむら(悪魔)

ほむら(そう、私は悪魔よ)

ほむら(そして鹿目まどかを愛してる)

ほむら(純粋無垢だったころの暁美ほむらはもういない…)

ほむら(今の私は極悪非道)

ほむら(どんな大罪もちょちょいのちょいよ)

ほむら(今日はクリスマスイヴ)

ほむら(よって今日も何かムカつく美樹さやかに悪戯してやるわ)

ほむら「ふふふふ…」

なぎさ「クリスマスパーティーなのです!なのです!」

マミ「もう、なぎさちゃんったら」

まどか「ウェヒヒヒ、ハシャイジャッテ!」

杏子「さやかー!クリスマスだぜ、さやかー!」

さやか「わかってるってば」

ほむら「ふふふふ…」

ほむら(ここは巴マミの家)

ほむら(そして6人でクリスマスパーティーの真っ最中よ)

ほむら(そして、そろそろプレゼント交換が始まるわ)

ほむら(でも、私は悪魔)

ほむら(だから、美樹さやかに悪戯をして楽しいクリスマスパーティーを絶望で染めてやるわ)

ほむら(ふふふふ、今に見てなさい、美樹さやか…!)

なぎさ「サンタさん、早く来て欲しいのです」

マミ「ふふ、それなら早く眠らなきゃね」

マミ「夜更かししちゃうような悪い子には、サンタさんは来てくれないぞ?」

なぎさ「はいなのです、早く眠るのです」

さやか「サンタさんかぁ、どんなプレゼントくれるんだろうね?」

杏子「そんなの欲しいもんに決まってんだろ、さやかー!」

まどか「ほむらちゃんの家にもやっぱりサンタさんは来てくれるの?」

ほむら「ふふふふ…」

ほむら(さて、美樹さやかへの悪戯はどうしようかしら…)

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「あっ、ごめんなさい。何かしら?」

まどか「サンタさん、何をプレゼントしてくれるのかな?」

ほむら「えっ?サタンさん!?」

ほむら(な…まさか、私が悪魔だとバレた!?)

まどか「ノンノン、サンタさんだよ、ほむらちゃん」

ほむら「えっ?」

まどか「もー、ほむらちゃんったら、ウェヒヒヒ」

ほむら「っ…」カァッ

ほむら(何か恥ずかしいわ……)

さやか「あはは!って言うかサタンさんって何よー」

ほむら「う、うるさい」

さやか「おやおやぁ?今日のほむらちゃんは何時もよりほっぺたが真っ赤になってはいませんかなぁ?」

ほむら「黙りなさいっ!」

さやか「はっ?まさか、真っ赤なほっぺのホムカイさんですか!」

ほむら「違うわよ!」

さやか「真っ赤なほっぺのーホムカイさんはー」

さやか「いっつもみんなのーわらいものー」

ほむら「だーまーりーなーさーい!」

さやか「きゃー!」タタッ

ほむら「待ちなさい、美樹さやかー!」タタッ

さやか「やだよーだ」

ほむら「美樹さやかー!」

杏子「あたしも混ぜろよ、さやかー!」

さやか「あははっ!」

ドタバタ

なぎさ「みんな、今日も仲良しなのです」

まどか「ハシャイジャッテ!」

マミ「………」

さやか「にっげろー!」

ほむら「美樹さやかー!」

杏子「さやかー!さやかー!」

マミ「だまりなさい!」

さやか「あっ」

ほむら「きゃっ」

杏子「ちっ」

マミ「ここを何処だと思ってるの?近所迷惑も考えなさい!」

さやか「あはは、すみません」

ほむら「ご、ごめんなさい」

杏子「悪かったよ、マミ」

マミ「わかればいいの、静かに楽しみましょうね?」

なぎさ「マミは、お母さんみたいなのです」

マミ「こーら、私もまだ中学生なんだから」

なぎさ「そうだったのです」

ほむら「はぁ……」

ほむら(おのれ美樹さやか…あなたのせいで巴マミに叱られたじゃない……)

ほむら(やっぱり、あなたには然るべき処置を行わなければならないわね)

まどか「ねえ、そろそろプレゼント交換しようよ」

マミ「そうしましょうか」

なぎさ「楽しみなのです」

さやか「まってました!」

杏子「楽しみだな、さやかー!」

ほむら「ふふふふ…」

ほむら「ホムッ」パンパン

ほむら(見てなさい、美樹さやか。あなたのプレゼントを家に転送してやったわ)

ほむら(これでプレゼントを忘れたみんなのわらいものになるといいわ)

ほむら(私ってほんと悪魔…)

ほむら「ふふふふ…」

まどか「プレゼント、楽しみだね、誰のプレゼントが貰えるのかな?」

ほむら「楽しみね、まどか」

ほむら(あなたはもちろん、私のプレゼントを…)

マミ「それじゃあ始めましょうか、みんなプレゼントの準備は良い?」

なぎさ「はいなのです!」

まどか「はーい」

ほむら「私も大丈夫よ」

さやか「あれ…?」

杏子「あたしもあるぜ」

さやか「……えっと…?」

マミ「交換方法は、みんなで歌を歌って、その間にプレゼントを順に回していって」

マミ「歌が終わった時に持っていたものが、貰えるプレゼントってことで良いわね?」

まどか「オッケーです」

なぎさ「オッケーなのです!」

ほむら「わかったわ」

さやか「………」

杏子「ん?どうしたんだよ、さやか」

さやか「……ご、ごめん、あたしプレゼント忘れちゃったっぽい」

杏子「えっ?」

ほむら「ふふふふ…」

さやか「えと……ごめん、あたし抜きでやってよ」

ほむら「………」

マミ「え?でもそれは…」

なぎさ「さやか…」

まどか「さやかちゃん…」

杏子「何言ってんだよ、さやか!今から取りに帰ろうぜ!」

さやか「でも、そんなことしてたら時間遅くなっちゃうし、みんなに悪いしさ」

さやか「いいよ、あたしはここで見てるから」

さやか「その…ごめんね」

杏子「さやか……」

ほむら「………」

ほむら(美樹さやか……)

ほむら(どうしよう…思っていた以上に落ち込ませてしまったわ……)

ほむら(でも、今さら美樹さやかのプレゼントをこっちに転送するのも不自然よね…)

ほむら(くまなく探してたし……)

ほむら(どうしよう……)

ほむら「………」ソワソワ

まどか「………」ジィー

ほむら(だったら……)

ほむら「美樹さやか、ちょっと良いかしら?」

さやか「え?なに?」

ほむら「いいから、こっちへ」

ほむら「みんな、少し待ってて」

マミ「え、ええ」

まどか「ほむらちゃん……」

さやか「何よ、ほむら?こんなとこに呼び出して」

ほむら「はい」

さやか「はいって…え?プレゼント?」

ほむら「あなたが使いなさい」

さやか「いや、これほむらのプレゼントじゃん」

ほむら「私は見ているだけでいいから」

さやか「そんなのダメでしょ!忘れたあたしがいけないんだし!」

ほむら「いいのよ」

さやか「ダメだって!だいたいこのプレゼント、あんたの手編みマフラーでしょ?」

ほむら「えっ?何でそれを…」

さやか「だって嬉しそうに編んでたじゃん!この前ほむらん家で遊んだ時見たもん」

ほむら「……」

さやか「まどかに使って欲しくて、編んでたんでしょ?」

さやか「それを、あたしのプレゼントとして使えるわけないじゃん!」

ほむら「………」

さやか「だいたい、今さらあたしがプレゼント持ってくるのは不自然だし」

さやか「だからそれは―」

ほむら「ホムッ」パンパン

さやか「―ほむらの…って、あれ?」

ほむら「どうしたのかしら?」

さやか「あれ?何であたしここにいるんだっけ?」

ほむら「さあ、何故かしらね?それよりも早くプレゼント交換を始めるわよ」

さやか「あっ、うん!」

ほむら「みんな、ごめんなさい。プレゼントを忘れた私のことは気にしないで、プレゼント交換を始めてちょうだい」

まどか「ほむらちゃん…」

マミ「暁美さん、本当に良いのね…?」

ほむら「ええ、構わないわ。私が取りに帰って遅くなったら、夜更かしになってサンタさんも来てくれなくなるでしょう?」

なぎさ「サンタさんは楽しみです…」

ほむら「ええ、だから気にしないで、始めて?」

杏子「わりぃな、ほむら…あんたには、また別の機会でみんなと何かしようぜ」

さやか「うん、それが良いね」

ほむら「……ありがとう」

まどか「ほむらちゃん…」

マミ「……ごめんね、それでは始めるわ」

マミ「みんな、歌うわよ」

「ケーキ、ケーキ、まあるいケーキ♪」

―――

――



まどか「クリスマスパーティー楽しかったね」

ほむら「ええ、そうね」

まどか「この手編みマフラー、とっても暖かいんだよ」

ほむら「ふふ、それは良かった」

まどか「誰のプレゼントなのかわかんないけど、わたしとってもハッピーだなって」

ほむら「ふふっ」

ほむら「……くしゅん」

まどか「ほむらちゃん、寒いの?」

ほむら「ええ、少し……」

まどか「なら…ほむらちゃん、ほむらちゃん」

ほむら「?」

まどか「もっと寄り添って?」

ほむら「こ、こう?」

まどか「うん、それで…」

ほむら「あっ…」

まどか「えへへ、二人でマフラーを巻けばあったかあったかだよ」

ほむら「……うん、あったかい」

まどか「えへへ」

ほむら「………」

ほむら(私…やっぱりいけない子だわ)

ほむら(あんな悪戯、しなきゃよかった)

ほむら(それに記憶を改ざんするだったら、最初から美樹さやかが忘れてないことにすれば…私もプレゼント交換できたのに……)

ほむら(私って、不器用なのかも……)

ほむら(でも、私の編んだマフラーが結果的にまどかへのプレゼントになったのは嬉しかった)

ほむら(だから、これで良かったのよ)

ほむら(私って、ほんと悪魔……)

ほむら「はぁ……」

まどか「………」ジィー

ほむら「………」

まどか「ほむらちゃん」

ほむら「?」

まどか「わたし、知ってるよ。ほむらちゃんが優しいってこと」

ほむら「……優しくなんかないわ」

ほむら「私は……」

まどか「ほむらちゃん、わたしからほむらちゃんにプレゼントがあるんだ」

ほむら「えっ?でも、まどかは…」

まどか「うん、今は何も持ってないけど……」

ほむら「?」

まどか「もしかしたら、ほむらちゃんが真っ赤なホムカイさんになっちゃうかも」

ほむら「えっ?それはどういう…」

まどか「ほむらちゃん」

チュッ

ほむら「―――!?」

まどか「えへへっ!わたしも真っ赤なマドカイになっちゃったかも!」カァー

ほむら「―――!!」カァー

まどか「えへへ、ほら、早く帰ろう?サンタさんも待ってるよ?」

ほむら「―――」コクコク

まどか「サンタさん、どんなプレゼントしてくれるのかな?」

まどか「ほむらちゃんは、何が欲しい?」

ほむら「……も、もう、貰った…かな」

まどか「……えへへ、そっか」

まどか「わたしもほむらちゃんと同じのが欲しいかも」

ほむら「えっ?」

まどか「ウェヒヒヒ、楽しみだなぁ」

ほむら「そ、それって」

まどか「うん」ニコッ

悪魔少女あけみ☆ほむら 第4646話「クリスマス・イヴ」 完