マミ「ゆかりちゃん、もうそろそろ…」

ゆかり「はい、準備はできています」

杏子「最後に言っとく、インキュベーターには何があっても心を開くなよ」

ゆかり「インキュベーター…!」

杏子「あいつが諸悪の根元だ、あいつはあたしら魔法少女のことを道具としか思っちゃいねぇ」

ゆかり「…!」

杏子「一番気を付けなきゃいけない相手は間違いなくインキュベーターだ」

杏子「そこは忘れるなよ」

マミ「……」

ゆかり「はい、大丈夫です」

マミ「キュゥべえにも心があったら…」

杏子「それがないからこうなったんだ、14年前の戦いを忘れたわけじゃないだろ?」

マミ「……ええ」

ゆかり「マミさん…」

ゆま「インキュベーターはまどかを付け狙う一番の敵、いくら見た目が可愛いからって騙されちゃダメだからね」

ゆかり「はい」

なぎさ「インキュベーターは何故か私達の名前を最初から知っててね」

なぎさ「ゆかりちゃんの名前が鹿目ゆかりだとバレる可能性が高いの…」

ゆかり「え?」

なぎさ「そうなったら、だだでさえイレギュラーな魔法少女なのに、まどかとの関係もバレかねない」

なぎさ「そうならないように…ゆかりちゃん、目をつぶって?」

ゆかり「は、はい」

なぎさ「これで誤魔化せるかわからないけど…」パァァ

ゆかり「あったかい…」

なぎさ「……これで大丈夫」

ゆかり「えっと…何をしたんですか?」

なぎさ「今のは円環の理にいる時に魔法少女仲間から教えてもらった魔法でね」

なぎさ「人の情報を細工できる、ってものだよ」

ゆかり「情報を細工?」

なぎさ「この魔法でゆかりちゃんの情報を鹿目ゆかりから、百江ゆかりに偽装したの」

ゆかり「え?」

ゆま「インキュベーターの目を欺く方法、って言うこと」

ゆま「これならたぶん、正体が鹿目ゆかりだとバレないはず」

なぎさ「そうそう」

ゆかり「えと…とにかく、鹿目ゆかりじゃなくて、百江ゆかりを名乗れば良い…のかな?」

なぎさ「正解なのです」

杏子「それならあいつも直ぐには気づかねーさ、それにイレギュラーな魔法少女は他にもほむらがいるからね」

杏子「あいつが、ほむらとまどかに気をとられてる内に行動すりゃ良いんだ」

マミ「そうなるわね」

ゆかり「わ、わかりました!」

タツヤ「本当の名前は今でも昔でも鹿目ゆかりなんだ、そこは忘れるなよ?」

ゆかり「もぉ!忘れるわけないよ!」

タツヤ「ん、それで大丈夫さ」

知久「ちょっと複雑だけど仕方ないよ」

詢子「むしろその方が昔の私達と会いやすいじゃん、なぁ」

ゆかり「うん、これなら遊びに行けるね」

詢子「うん、待ってるからちゃんと若い頃のお婆ちゃんに会いに来いよ?」

知久「お爺ちゃんもね」

ゆかり「うん!」

タツヤ「俺もな」

マミ「まろか!まろか!」

タツヤ「マミさん!?気にいったんすか?」

マミ「ふふっ」

ゆかり「てぃひひ」

ゆかり「…それじゃあ、わたし行くね」

まどか「まって…」ヨロ

ゆかり「ママ!?」

詢子「なっ?おい、まどか!意識が戻ったのか?」

タツヤ「姉さん!」

知久「まどか…」

まどか「大丈夫…一人で歩けるよ」

ゆかり「ママ…」

まどか「ゆかり…これを」

ゆかり「写真…ママとほむらさん?」

まどか「うん、ママの宝物だよ…」

ゆかり「初めて見た…」

まどか「ほむらちゃんはママの最高の友達なの、でも…ほむらちゃんとはすれ違ってばっかりで」

まどか「結局、最後まで言いたいことも言えなかったんだ」

ゆかり「言いたいこと…?」

まどか「うん、でもそれはほむらちゃんが帰ってきたら本人に言うって決めてるの」

まどか「それでね、ゆかりに知ってて欲しいことは…ほむらちゃんは何でも全部一人で背負い込んで」

まどか「友達もちゃんと作ろうとしなかった…でもそれは、ママのせいなの」

まどか「回りからはそう見えなかったのかもしれないけど、ほむらちゃんも泣き虫でか弱い優しい女の子なんだ」

まどか「だから、ほむらちゃんと衝突することがあっても、恨んで欲しくないの」

まどか「それを受け入れて、ゆかりとほむらちゃんが友達になってくれたらママはとっても嬉しいなって」

ゆかり「…うん、わかった、ほむらさんとも仲良くするね」

まどか「ありがとう」

ゆかり「ううん」

まどか「そして最後に…リボン借りるね」

ゆかり「え?うん」

まどか「今のリボンの結び方も可愛いけど、それじゃあママとそっくりでバレちゃうといけないから」

まどか「だから、この結び方でいてくれたら嬉しいな」

なぎさ「!!」

ゆかり「あっ、カチューシャみたいに結んであるんだね」

まどか「…やっぱりあなたの方が似合うね」

ゆかり「え?」

まどか「ううん、大丈夫。何でもないの」

ゆかり「?」