さやか「まったくもぉ…恭介の事は一応整理してきたつもりだったのになぁー」

さやか「……ふっ、あはは」

さやか「まーいっか」

さやか「ここには…思い出がちゃんと残ってるんだもんね」

さやか「制服もあるし、私服だって揃ってる」

さやか「スマホまであるし」

さやか「CDも自分用に結構買ってたっけ」

さやか「う…教科書とか宿題もそのまんまあるし…」

さやか「それに…」

さやか「アルバム…」

さやか「最近のはスマホに入ってるけど、昔のはこうしてちゃんと現像してとってあるんだよね」

さやか「……」ペラ

さやか「あはは…ほんと、あたしってば男みたいだよなぁ」

さやか「恭介の方が女っぽいかもしれないもん」

さやか「やっぱ恭介と写ってるの多いなぁ…」

さやか「それに…仁美もね」

さやか「仁美のやつ、この頃から美人じゃん、羨ましいなー」

さやか「……あれ?」

さやか「なんであたしが一人で写ってる写真こんなにあるんだろ?」

さやか「これってたしか、夢の国に行ったときのだよね?」

さやか「ミッキ○とかと一緒に写ってるし」

さやか「たしかこの時『あたしも美っ樹ー!』とか言ったっけ」

さやか「こんな下らないダジャレでも、ちゃんと笑ってくれたっけ」

さやか「相変わらず変な笑い方だったけどね」

さやか「ふふ…」

さやか「……ん?あれ?この時誰と一緒に行ったんだっけ?」

さやか「仁美や恭介じゃなかったことはたしかだけど…あれ?」

さやか「たしか家族ぐるみで行ったと思うんだけど…」

さやか「その子のお父さんが作ったお弁当が夢の国のやつより美味しかったって覚えてるもん」

さやか「ん…?あたしの友達で父親が主夫のとこなんてあったっけ?」

さやか「あたしはそれなりに友達多いと思うけど、家族ぐるみなんてそこまでいないはず…」

さやか「あれ…?」

さやか「そうだよ、この写真だって、となりに誰か写ってないと不自然だしさ」

さやか「ミ○キーはと握手してるのに、ミニ○は空気と握手しちゃってるし!」

さやか「やっぱ不自然だって!」

さやか「これもだ!運動会の写真だろうけど、一等賞のあたしが誰かを慰めてるっぽいのに」

さやか「あたしが一人で何もないところを励ましてるように見える…」

さやか「これも…あたしと仁美が誰かを見て笑ってるのに、何も写ってない…」

さやか「おかしい……」

さやか「修学旅行も宿泊研修も遠足も不自然な写真ばっかりだ…」

さやか「なんで今まで気付かなかったんだろ?」

さやか「魔獣退治が忙しかったとは言え…」

さやか「……あたしは何か大切なものを忘れてる」

さやか「いや、大切なものじゃない…大切な人だよ」

さやか「あたしは仁美以外にも間違いなく親友がいたはず」

さやか「ちっちゃくて」

さやか「すぐ泣いて」

さやか「頭もあたしと一緒で良くないし」

さやか「運動も苦手」

さやか「でも」

さやか「優しくて」

さやか「よく変な笑い方をして」

さやか「あたしの側にいてくれた」

さやか「あたしの親友」

さやか「ま」

ガチャ

なぎさ「まどか様が魔法少女を連れて帰ってきたのです!」

さやか「えっ?」

なぎさ「出迎えに行くのです!」

さやか「あっ、うん、わかった!」