ほむら「まどか……」

まどか「うーん…」

ほむら「!」

まどか「むにゃ…あ、あれ?ほむらちゃん?」

ほむら「…まどか」

まどか「え?え?ここどこ?」

まどか「って、わぁっ?なんでほむらちゃんにお姫さまだっこされてるの?」

ほむら「ごめんなさい、おろすわね」

まどか「あ…ま、まって!」

ほむら「?」

まどか「んと……か、体に力がうまく入らないから、もうちょっとこのままでも良いかな…な、なんて」

ほむら「…わかったわ」

まどか「あ、あの…ほむらちゃん?」

ほむら「どうしたの?」

まどか「その…な、なんでこうなってるのかな…?」

まどか「わ、わたし記憶が…んと、覚えてなくて」

ほむら「どこまでは覚えているの?」

まどか「えっと…たしかお弁当食べ終わったくらいまで…かな?」

まどか「でも今は日も暮れてるし…全然覚えてないの…」

ほむら「そう…」

まどか「わ、わたし、どうしちゃったのかな…?」

ほむら「………」

まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「…ふふ」ナデナデ

まどか「わっ」

ほむら「もう頭は痛くない?」

まどか「えっ?頭?」

ほむら「あなた、昼休みに急に倒れたのよ」

まどか「え!?そうだったの!?」

ほむら「だから保健室で放課後まで眠っていたわ」

まどか「そ、そんな…何か悪い病気になっちゃったのかな?」

ほむら「いえ、それなら今ごろ入院してるはずよ」

まどか「そ、そっか!」

ほむら「倒れた理由は貧血と寝不足らしいわ」

まどか「そうなんだ…?あ、たしかに昨日はあんまり寝れなかったような…」

まどか「あっ!そうだよ!ほむらちゃんの心の声が聞こえて…!」

ほむら「……心の声?」

まどか「うん、何故かほむらちゃんの心の声が聞こえて…あれ?でも今は聞こえない?」

ほむら「ふふ、まどかは不思議な夢を見ていたのね」

まどか「え?夢?」

ほむら「人の心の声なんて聞こえるものじゃないわ」

まどか「え、うん…それはそうだけど…あれ?夢…だったのかな?」

まどか「そ、そうだよ!ほむらちゃんのイヤーカフ!」

ほむら「イヤーカフ?これがどうかしたの?」

まどか「あ、あれ?」

ほむら「これは今朝あなたが届けてくれたわ、覚えてないの?」

まどか「え?そうだったかな?」

ほむら「夜更かししてまで探してくれたのよね?ありがとう」

まどか「え、えっと」

ほむら「…」ナデナデ

まどか「わっ、あぅぅ…わたしもう子どもじゃないよぅ」

ほむら「ごめんなさい」

まどか「あ…で、でも何だか落ち着くから…もうちょっとしてほしいな…って」

ほむら「ふふ、お安いご用よ」ナデナデ

まどか「ふぁ…」

まどか(なんだかすっごくぽかぽかする)

まどか(ほむらちゃんってこんなに暖かったんだね)

まどか(それに優しくなったような…)

まどか(と言うよりも、今までほむらちゃんと二人っきりだなんて初めて会った時以来…だよね?)

まどか(なのに懐かしいって感じがしないのはなんでだろう?)

まどか(それに…)

まどか「あの、ほむらちゃん」

ほむら「ん?」

まどか「あ、あのね、なんでわたしに優しくしてくれるのかなって…」

ほむら「…私も保健係だもの、このくらい当然よ」

まどか「保健係…それはわたしも同じだけど、こんなだっこまでしてお見送りなんてしたことも聞いたこともないよ」

ほむら「まどかは嫌?」

まどか「ち、違うよ!全然嫌なんかじゃないよ!」

まどか「だけど…」

ほむら「このイヤーカフは私にとって本当に大切なものなの」

ほむら「それを届けてくれたまどかに感謝しているし…」

ほむら「それ以上に…」

まどか「…?」

ほむら「ふふ、なんでもないわ」

まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「……今まで避けててごめんね」

まどか「えっ」

ほむら「私、あなたと仲良くなれる自信がなかった」

ほむら「だからあなたと距離を置こうとしていたし、さやかにも協力してもらっていたの」

ほむら「それにあなたの友だちになる資格なんてありっこないって思ってた」

まどか「え…?」

ほむら「でも…」スッ

まどか「あっ」

まどか(お姫さまだっこ終わっちゃった…)

ほむら「大丈夫?立てる?」

まどか「う、うん」

ほむら「…まどか」

まどか「ほむらちゃん…?」

ほむら「あなたにお願いがあるの」

まどか「な、なに…かな?」

ほむら「こんな私だけど…あなたの友だちになっても良いかしら?」

まどか「!!」

ほむら「もう自分に嘘はつかない、私が今まで落としてきたものをまた拾っていきたい」

ほむら「いえ、そんな回りくどい言い方なんて必要ないわ」

ほむら「まどか、あなたと仲良くなりたいの」

まどか「ほむらちゃん…!」

まどか「わ、わたしもだよ!初めて会った時からずっとほむらちゃんのことが気になってたの!」

ほむら「まどか…」

まどか「あっ、き、気になってたって、別にそういう意味じゃな…あ、あれ?いや?そうじゃないかも…」

まどか「って?わわわわ!わたし何言ってるの!?」

まどか「ご、ごめんね!ほむらちゃん!わたし変なこと言っちゃったよぉ!?」

ほむら「ふふ」

まどか「ほむらちゃ…?」

ほむら「私はまどかのこと、そういう意味で気になってる…かもね」

まどか「!!」

まどか「え?ほ、ほんと!?」

ほむら「ふふ、私にもわからないわ」

まどか「えー?」

ほむら「ふふっ」

まどか「うぅ…」

まどか(ものすごく気になるよぉ)

まどか(それに、ほむらちゃんさっきからずっと笑顔だよね?)

まどか(ほむらちゃんの笑顔って可愛いなぁ、美人で可愛いなんてずるいよ)

まどか(ほむらちゃん…あれ?)

まどか「ほむらちゃん、そのリボン…」

ほむら「このリボン?」

まどか「うん、似合ってるね、どうしたの?」

ほむら「大切な人からもらった私の宝物よ」

まどか「大切な人?」

ほむら「ええ」

まどか(大切な人って誰だろう?ほむらちゃんの大切な人…うぅー、気になる)

まどか「わ、わたしもこのリボンは宝物だよ!」

ほむら「ふふ、ありがとう」

まどか「うぅ」

まどか(誰だか知らないけど負けたくない…)

まどか「ほむらちゃん!」

ほむら「なに?」

まどか「明日はお休みだし、いっぱい遊ぼうよ!」

ほむら「いいの?」

まどか「うん!お昼もお弁当作ってくるから一緒に食べようね!」

ほむら「あら、それは楽しみだわ」

まどか「約束だよ?」

ほむら「ええ、約束するわ」

まどか「よーし、なら明日は早起きして頑張らなきゃ!」

まどか(わたしも頑張ってほむらちゃんに大切な人だって思われたいよ!)

まどか(がんばろう!)