それから暫くして

さやか「みんな、本当にありがとう」

さやか「みんながいてくれなきゃ、あたし…とっくに魔女になってたと思う…」

さやか「でも、みんなが助けてくれたから、今もこうして恭介に側にいられるんだよね…」

さやか「だから…本当にありがとう」

ゆま「よかったね!」

マミ「うん!」

杏子「んじゃ、もう魔女みかけても一人で立ち向かうのはもう辞めなよな」

杏子「そん時はテレパシーでも電話でも使って助けを呼びなよ」

杏子「魔力の消費もテレパシーだけならグリーフシード1つでだいぶ持つだろうしな」

さやか「うん…」

杏子「ま、タダでグリーフシードをやるわけにもいかねぇし」

杏子「誰であろうとグリーフシード分けてもらうときは、あんたら二人で精一杯の礼をするんだぞ」

杏子「あたしの場合なら、あたしとゆまが腹一杯になるまでご馳走してもらうからな!」

ゆま「キョーコはいっぱい食べるからね」

恭介「なら貯金もしとかなきゃね、さやか」

さやか「あはは、そうだね」

杏子「ま、あたしらは風見野に戻るからね」

杏子「たぶん会うこともそうそうないだろ」

杏子「だから次に会うときには魔女になってるとかマジで勘弁だからな」

杏子「ちゃんと生きろよ」

さやか「うん…本当にごめん」

杏子「じゃ、帰るか…ゆま」

ゆま「うん、ばいばい!」

さやか「ゆまちゃんもありがとね、ばいばい」

マミ「ばいばい」

仁美「さようなら…」

杏子「……ゆま、金渡しとくからなんか食いもん買っといてよ」

ゆま「うん」

杏子「マミ、ちょっと面貸しな」

マミ「え?う、うん」

杏子「じゃあな!」

恭介「佐倉さん、本当にありがとう!さやうなら!」
恭介「じゃあ帰ろう、さやか、それに志筑さんも」

仁美「…」

恭介「志筑さん?」

さやか「…?」

仁美「あっ…すみません、私は寄るところがあるので」

恭介「そっか…志筑さんも本当にありがとう」

恭介「おかげでまたさやかと一緒にいられるよ」


仁美「……いえ」

さやか「仁美…?」

仁美「では、さようなら。また今度」

恭介「うん、またね」

さやか「またね…」

さやか(仁美…?どうしたんだろう?)

さやか(明らかに元気なかったけど…)

さやか「……」

恭介「さ、帰ろう」

さやか「ちょっと待って」ピッピッ

恭介「ん?」

さやか「ちょっとまどかにね」

少し離れたところ

あずき「……」

あずき(嫌な予感がしたから、魔力を辿って来てみたけど)

あずき(とりあえずは大丈夫だったみたいね)

あずき(美樹さやかは…だけど)

あずき(仁美は…)

あずき(あたしらの世界では、志筑仁美は上条仁美になってて担任の先生でもありんだ)

あずき(そして先生はずっと美樹さやかの事を引きずってた)

あずき(三角関係だったから…)

あずき(それがここの世界でも同じだったら)

あずき(今度は先生が危ないんじゃ…?)

あずき(もしこっちの世界では先生が魔女になるなんてこと)

あずき(そんなのあたしが許さない…!)

あずき(先生は…仁美は)

あずき(あたしが…!)

その頃

マミ「さ、佐倉さん、その、話って…」

杏子「マミ」ズイッ

マミ「ひぅ…」

杏子「あんた…あたしら魔法少女の中で一番歳上だろ」

マミ「そ、そうだけど…」

杏子「だったらもういい加減、しっかりしろよ」

マミ「え…?」

杏子「引きこもりの弱虫だったあんたが、なんとか魔女と戦えるようになってきたのは誉めてやるよ」

杏子「でもな、まだまだそんなんじゃダメだ」

マミ「そ、そんなこと言われても…」

杏子「……今でこそ魔法少女が回りに多くなったけど」

杏子「本来、魔法少女は孤独なもんさ」

杏子「魔法少女同士は仲間と言うより、同じ縄張りを奪い合う敵って方が正しいかもしれないからね」

杏子「だから基本的には仲間はいないし、実際いなかった」

杏子「それにあたしもあんたも家族がいない天涯孤独の身さ」

マミ「……」

杏子「自分も魔法少女である以上、いつ死ぬかもわからない」

杏子「いつもそう考えてれば、友達なんてなかなかできねぇさ」

杏子「だから学校とかでも一人になりがちになるのもわかる」

杏子「それに戦う相手は魔女、決して弱くはないし」

杏子「それに元は同じ魔法少女、女の子さ」

杏子「だから戦いたくないのもわかる」

杏子「その結果、あんたは友達も作らないで魔女とも戦わずに一人でずっと過ごしてきた」

杏子「なんでキュゥべえがそんなあんたの唯一の友達になってたのかはわからねぇ」

杏子「でもそのキュゥべえがグリーフシード渡してたから魔女にもならずに済んでたんだ」

杏子「でも、状況は変わった」

マミ「ぅ…」