仁美「私の願いは、さやかさんと一緒に戦うこと」

仁美「そして、まどかさんと暁美さんが付き合える世界にしたい…」

仁美「この二つです!」

さやか「仁美…」

マミ「…どうするの?キュゥべえ」

キュゥべえ「さやかと一緒に戦うこと、それは魔法少女になることによって叶うから」

キュゥべえ「まどかとほむらが付き合える世界を作ることが願いと言うことかな?」

仁美「はい!暁美さんは回りの目を気にして、敢えて身を引いていることを知りました」

さやか「…あいつなりに考え出した答えがそれだったんだよね」

マミ「…」

仁美「だったら、女性同士でも問題なく付き合える世界になれば、必ず…!」

キュゥべえ「なるほど、言いたいことはわかったよ」

キュゥべえ「たしかに、それが実現すれば、二人は付き合うことができるだろうね」

仁美「はい、ですので…お願いします!」

さやか「……ねえ、マミさん」

マミ「…言いたいことはわかるわ」

さやか「これじゃ…」

キュゥべえ「先に結論から言わせてもらうけど、それは無理だよ」

仁美「え?」

さやか「!」

キュゥべえ「その願いは有史以前から君たち人類が築き上げてきたものを覆すことになる」

キュゥべえ「たしかに、一部の国では認められているけれど、まだまだ世界中には浸透していないんだ」

キュゥべえ「そんな大きな恋愛観を君ひとりの願いで覆すことは到底無理なんだ」

仁美「そんな…でしたら、日本だけでも…」

キュゥべえ「残念だけど、それも無理だよ」

キュゥべえ「日本も人口は多いし、日本でそれが認められることによって周囲の国々にも影響を与える」

キュゥべえ「だから結果的に最初の願いと大差ないんだ」

仁美「なら…二人の回りだけでも…」

キュゥべえ「それも無理だよ」

キュゥべえ「そもそも、まどかにはとてつもない因果が集まっていて相当な素質を持たない限り、まどか個人の運命を変えることは不可能だ」

キュゥべえ「加えて、ほむらもまた、まどかほどではないけど相当な因果を背負っている、だからほむらの運命も変えることは困難だよ」

キュゥべえ「だから仁美、君の素質では二人の運命を変えることは不可能なんだ」

仁美「そんな…私…私っ…」

さやか「仁美」

仁美「さやかさん…私どうしたら…」

さやか「だから、無理に契約なんかしなくても良いんだよ」

仁美「でもっ…!」

さやか「あたしにも仁美の気持ちはよーくわかるよ?」

さやか「あたしだって、二人には幸せになってもらいたいもん」

仁美「でしたらっ」

さやか「でもさ、それを契約で…魔法で解決するのは、ちょっと違うと思う」

仁美「えっ?」

さやか「あたしも失恋の経験しかないから上手くは言えないんだけどさ…」

さやか「なんて言うのかな?恋愛って魔法とかに頼らずに自分の力で掴み取るものだと思うのよねぇ」

仁美「……」

さやか「例えばさ、あたしが魔法で恭介と結ばれたとするでしょ?」

さやか「それがあたし自身が願ったものでも、他の誰かが願ったものでも」

さやか「魔法の力で結ばれましたーってわかったら、すっごく嫌になると思うんだ」

仁美「……」

さやか「…あたし仁美に嘘言ってるんだけど」

仁美「?」

さやか「実は、あたしの願いって『恭介の腕を治す』…ってのじゃなくてね」

仁美「え?」

さやか「『恭介の腕を治して、仁美と付き合ってもらう』って願いだったんだ」

仁美「え…?えっ?えっ!?」

さやか「あたしじゃ、仁美には敵わないのはわかってたし」

さやか「仁美が恭介に恋してるのも、実は気づいてたの」

仁美「そ、そんな!?」

さやか「でも、恭介って音楽一筋だからさ、女の子に興味持たないのがちょっとねぇ」

さやか「で、せめて親友の仁美には幸せになってほしかったから、キュゥべえにお願いしたってわけ」

仁美「そ、それじゃあ…私が上条くんとお付き合いできたのは、さやかさんがそう願ったから…?」