夕食後

こころ「…まさら、ちょっといい?」

まさら「なに?」

こころ「ここじゃあれだから、公園行かない?」

まさら「ええ、構わないけど…?」

こころ「うん、じゃあ行こう」

まさら「こころ…?」

まさら母「あら?どこかに行くの?」

こころ「はい、ちょっと…夕飯本当にありがとうございました、美味しかったです」

まさら母「ふふ、いいのよ?またいつでも来てね?」

こころ「はい、では…」

まさら「…」

まさら父「もう日も暮れてるんだし気を付けるんだぞ」

まさら「わかってるから」

こころ「いえ、ありがとうございます」

こころ「…」キッ

まさら「?」



まさら母「こころちゃん…もしかして…」

まさら父「怒ってるな…」



こころ「……」ツカツカ

まさら「ま、まって、こころ…?」

こころ「……」ツカツカ

まさら「どうしたの…?」

公園

こころ「……」

まさら「こころ?ど、どうしたの?様子がへんよ…?」

こころ「へんなのはまさらの方だよ!」

まさら「えっ?」

こころ「なんであんなに冷たくするの!?」

まさら「冷たい…?」

こころ「まさらのお父さんとお母さんなんだよ!?あんなに優しいのにどうして!?」

まさら「あぁ…親のことね」

こころ「あぁ…って…!」

まさら「どうしても何も、二人は過保護すぎるのよ」

まさら「もう私も高2よ?それなのにいつもああだから」

こころ「いくつになっても親子は親子だよ!」

まさら「あんなに娘にべったりなのはこの年齢じゃあんまりないわよ」

まさら「それに何時までも若い時のようなノリでいるから…もう二人も40近いのに」

こころ「すごく素敵なことだよ!」

まさら「本人は良くても、娘の私からしてみたら困ったものよ」

こころ「どうして…」

まさら「ずっとずっと昔から若い頃と変わらない…」

まさら「二人とも落ち着くべき年齢なのに、そうじゃない」

まさら「何時までも自分が若いと思っているのよ」

こころ「悪いことじゃないよ」

まさら「いいえ、授業参観や家庭訪問で私はいつも恥ずかしい思いをしているの」

こころ「たしかに目立ってるけど…」

まさら「小学生の頃はともかく、中学高校と相変わらずああなのよ」

こころ「でも毎回来てくれるってすごいことだよ?」

まさら「別に来なくていいわ」

こころ「なんで?」

まさら「なんでって…いつもああだからよ、あなたにはわからないかもしれないけど」

こころ「っ!!」

まさら「私はいつも…はっ」

こころ「……」プルプル

まさら「ち、違うわ!今のはそう言う意味で言った訳じゃないの!」

こころ「……いいよ…ほんとのことだもん」

まさら「ち、ちが…」

こころ「私は…お母さんが出ていってからは…お父さんは仕事で忙しいから…」

こころ「お母さんが帰ってきてからも…申し訳なくて…だから私…いつも内緒にしてて…」

まさら「こころ…」

こころ「まさらは贅沢だよ」

まさら「っ」

こころ「あんなに両親が仲良くて、愛されてるんだから」

まさら「それとこれとは別よ」

こころ「別じゃない」

まさら「別よっ!!」

こころ「……」

まさら「……ごめなさい」

こころ「……ううん」

まさら「…………」

こころ「…………」

こころ「……まさらってさ」

まさら「……なに」

こころ「さっき過保護すぎるって言ってたよね」

まさら「ええ、言ったわ…本当だもの」

まさら「ひとつひとつ大袈裟に受け取りすぎだもの」

こころ「…そっくりだよ」

まさら「そっくり?」

こころ「まさらは両親とそっくりだよ」

まさら「……それはないわ、私は二人のようになったつもりはないもの」

こころ「うん、両親は暖かいけど、まさらはクール…ううん、冷たいよ」

まさら「く…さっきから冷たい冷たいって、なんで…」

こころ「だってまさらは冷たいもん」

まさら「それは…っ」

こころ「まさらは私にだけ優しくしてくれるよね?」

まさら「ええ、あなたを愛しているから」

こころ「私だってまさらを愛してるよ」

こころ「できればまさらを独り占めしたいくらい」

まさら「あなたさえよければ私はあなたに独り占めしてもらいたいわ」

こころ「…けどね、まさら…」

まさら「…」

こころ「まさらはもう少し、みんなにも優しくなるべきだよ」

こころ「特に家族に…!」

まさら「…結局そうなるのね」

こころ「まさらはわかってないよ、家族がバラバラになる寂しさが」

まさら「別にバラバラにするつもりはないわ」

こころ「私はバラバラにするつもりなんてこれっぽっちもなかったし」

こころ「バラバラにならないように必死だったのにバラバラになったの!」

まさら「…」

こころ「まさらは1年前まで魔女と戦って死んでもいいって言ってたよね?」

こころ「あれだって絶対間違ってるもん!」

まさら「過去の話よ、今は違う…それに関係ないじゃない」

こころ「関係あるよ!だってもし死んじゃって両親がどう思うかわからないんでしょ!?」

まさら「葬式の費用も十分用意してあるし、毎年旅行に行っても」

まさら「有り余るくらいのお金は用意したわ」

こころ「そうじゃない!そうじゃないよ!そこがまさらが間違ってるところだよ!」

まさら「いいえ、最善よ…!」

こころ「どこが?ぜんっぜん違うよ!」

まさら「どうしたのよ…今日のあなたはおかしいわ」

こころ「だって…だって…!」

まさら「それに私のどこが親と似ているの?」

こころ「たくさんあるけど…例えば過保護なところ」

まさら「過保護?」

こころ「まさらは私に対して過保護すぎるよ…」

まさら「……」

こころ「私は別に何も悪く思ってないのに、すぐ私を庇うでしょ?」

まさら「!」

こころ「さっきだって私が嫌がってるっておじさんに言ったじゃない…」

こころ「私…嫌がったわけじゃないのに…」

まさら「いえ、明らかに困った顔をしていたわ」

こころ「それは家族水入らずでいてほしかったからだよ…私なんかがいたって」

まさら「ほら、困ってるじゃない」

こころ「違うよ!困った訳じゃないから!」

まさら「矛盾してるわよ?落ち着いて」

こころ「まさらっ…!」

まさら「頭を冷やすべきよ」