一方
麓
ももこ「みんなごめん…万が一の場合は頼むな」
梨花「……」
れん「はい、任せてください」
梨花「……アタシ…やっぱり…嫌だよ…」
れん「梨花ちゃん…」
ももこ「……」
梨花「なんとか助かる方法はないの…?」
れん「…梨花ちゃんの気持ちはよくわかるよ…けどね…」
れん「私たち魔法少女には…いつか必ず訪れる結末…だよ」
梨花「……」
れん「2年前のあの戦いで…ドッペルも使えなくなった…」
れん「それからも私たちは戦い続けてきたけど…」
れん「魔法少女の運命を変える方法は…見つからなかった…」
梨花「そうだけど…そうだけどっ…でもっ…」
フェリシア「……これはオレ達の責任だよ」
ももこ「フェリシア…」
フェリシア「オレ達は…やちよに、いろはについていった」
フェリシア「今でもいろはの選択は間違ってなかったっと思ってる」
フェリシア「マギウスの奴らが正解だなんて思いたくもねぇ…」
フェリシア「今のオレ達がいるのも、あの時のいろはの決断のおかげなんだ」
梨花「…うん…わかってる…」
フェリシア「…でもそれは、魔法少女の運命と向き合わなきゃなんねー…」
フェリシア「…オレだって信じたくねぇよ…父ちゃんと母ちゃんを殺したのは魔女じゃなくてオレなんだからさ…」
かこ「フェリシアちゃん…」
フェリシア「でもな…仕方ねぇじゃんか…魔法少女になったんだから…」
フェリシア「いつかは…こうなるんだよ…」
梨花「………」
フェリシア「…別れだって…もちろんある…」
フェリシア「いろは…やちよ…鶴乃…」
フェリシア「…みんな…オレの大切な仲間だ…なぁ、さな」
さな「うん…みんな大切な仲間だよ」
さな「今は私とフェリシアさんの二人になっちゃったけど…心はいつも繋がってると思うから…だから…」
フェリシア「ああ…」
梨花「……」
かこ「…まどかさんも言っていました」
かこ「『大好きな先輩が遠いところに行ってしまったけど、一緒に過ごした記憶は一生忘れない』…って…」
かこ「今回の…こころさんの場合と違うとは思いますけど…でも…」
かこ「こころさんと、そしてまさらさんと過ごしてきた記憶は…ずっと残り続けると思います」
かこ「それを大事に…みんなの心に刻むことが、私たちにできる最後の役目…なのかもしれません」
あやめ「あちしもそう思うよ、今だってつつじの家の想い出はあちしの中で生き続けてるもん」
あやめ「このはも葉月もそうだよ」
梨花「……わかるよ…わかるけど…」
梨花「でも…こころさんは…死ぬために…ここを登るんだよ…?」
梨花「そんなの悲しすぎるよ……」
れん「……梨花ちゃん」
レナ「梨花の言う通りよ」
ももこ「レナ…」
レナ「私は認めない、こんなの絶対間違ってる」
ももこ「レナ…でもな…」
レナ「第一、こころさんはそのことわかってるの?自分が死ぬってさ」
ももこ「……それは……」
レナ「話してないの?」
ももこ「………」
レナ「……やっぱりね、そんなことだと思ったわ」
ももこ「言えるわけないだろ…」
レナ「なら、ももこ達がこころさんを勝手に殺すってことじゃない」
レナ「私はそんなの絶対に認めない…!」
ももこ「っ…」
かえで「じゃあ、どうすればこころさんは助かるの?」
ももこ「かえで…」
レナ「……」
かえで「…レナの気持ちはわかるよ、みんなわかってる」
かえで「だけどもう限界なんだよ…ううん、限界なんてもうとっくに越えてるの…」
かえで「こころさんはもう本当にいつどうなるかわからない…」
かえで「もしかしたら、今この瞬間に魔女になっても全然おかしくないの」
かえで「それに…グリーフシードにだって限りはある…」
かえで「いくら魔法少女の数が減ったって言っても…神浜は他の町より魔法少女は多いの」
かえで「そのグリーフシードをこころさんに与え続けてきたけど…私達の分も…もう…」
かえで「だから…」
レナ「だからこころさんに死ねって言うの?」
かえで「……」
レナ「かえでだけじゃない、ももこも…ここにいる全員よ!」
ももこ「……」
レナ「やろうとしてることは、ただこころさんを殺そうってしてることなのよ!?」
フェリシア「しかたねーだろ…」
レナ「仕方ないなら殺してもいいっていうの!?」
レナ「そんなのマギウスの連中とやってること同じじゃない!!」
フェリシア「なっ!」
さな「ううん、違うよ…」
レナ「何が違うのよっ!」
さな「マギウスとは絶対に違うから…」
レナ「一緒よっ!」
かえで「レナ」
レナ「なによっ!」
かえで「もうやめよう?フェリシアちゃんもさなちゃんも…ももこちゃん達もみんなわかってるよ」
かえで「みんなだって本当はレナみたいに言いたい…でも我慢してるの」
かえで「けど我慢するしかない…もう方法が他にないの…」
レナ「でも…でもっ!」
かえで「じゃあレナは…町中でこころさんが魔女になってもいいの?」
レナ「!」
かえで「それも魔女が同時に2体現れる可能性が高いんだよ…?」
レナ「それは…」
かえで「いつどこでそうなってもおかしくない…」
かえで「だったら、全員で送り出そう…って…」
かえで「こころさんとまさらさん二人の想い出の場所でね…」
レナ「……」
かえで「だから……」
レナ「でも…でも…本人は何も知らないのよ…?」
レナ「残酷すぎるじゃない…」
かえで「……」
レナ「せめてこころさんに知らせてから……」
かえで「うん…わかるよ…でも…」
ももこ「くっ…」
ももこ(あたしは何度か話そうと試みた…でも…ダメだった…)
ももこ(今のこころは…ほとんどしゃべれない…)
ももこ(感情らしい感情もなくなってしまった…)
ももこ(あいみは『昔のまさら以上に感情がない』ってよく言ってた…)
ももこ(そんなこころに…話すことなんてアタシにはできなかったんだ…)
ももこ(いや…アタシは逃げてるんだ…こころから…)
ももこ(でも…しょうがないじゃんか…)
ももこ(どうしろって言うのさ…くそっ…)