さな「はぁ…はぁ…」 

さな「いろはさん…どこですか…?」 

さな(こんなに探してるのに…手がかりもまったくないなんて…) 

さな(まるで本当にいなくなっちゃったような…) 

さな「っ…!」ブンブン 

さな(そんなことない!いろはさんは絶対にいます!)

さな(私が見つけなきゃ!) 

さな「……でも…」 

さな「こんなに探しても何もないなんて…」 

さな「このままじゃダメ…」 

さな(根本から変えなきゃいけないのかも…) 

さな「いろはさんが最後にいたところ…」 

さな「ううん、あそこはみふゆさん達が何度も探してる…」 

さな「じゃあその前は…調整屋…」 

さな(私のために…) 

さな(みたまさんはいないけど…行ってみよう) 

調整屋 

のぞみ「すやすや」 

こころ「……」 

こころ(いろはちゃん…本当に何があったの…?) 

こころ(さっきのいろはちゃんはいつものいろはちゃんだった…) 

こころ(突然行方不明になるなんて思いもしなかったよ…) 

こころ(でも…まさらは胸騒ぎがするって思ってた) 

こころ(あの時の、まさらの不安そうな気持ち…) 

こころ(それは心を通じて私にも伝わってた…) 

こころ(何か悪い予感がする…それだけなんだけど…) 

こころ(どうしてだろう…まさらにしか感じられない何かがあったのかな…) 

ガチャ 

こころ「!」 

さな「あの…誰かいますか…?」 

こころ「さなちゃん…」 

さな「こころさん…!」 

こころ「どうしたの…って、聞くまでもないよね…」 

さな「はい…」 

こころ「…いろはちゃんはきっと大丈夫だよ、だからそんな顔しないで?」 

さな「ぅ…そう、ですよね…」 

こころ「でも…わかるよ、すごく不安だよね…」 

さな「はい…」 

こころ「……」 

こころ(さなちゃんはいろはちゃんのことが好き…) 

こころ(私がまさらのことが好きなのと同じ好き…) 

こころ(もし…まさらが突然いなくなっちゃったら…) 

こころ(そう考えるだけですごく怖いよ…) 

こころ(けどそれが今のさなちゃん…なんだよね) 

さな「…何か少しでも手がかりがあればなって…」 

こころ「手がかり…そうだよね…」 

こころ(私はここにいたから何も…けど私だって力になりたい…!) 

こころ「私がわかることはほとんどないけど…」 

こころ「ここに来たときのいろはちゃんはいつも通りだったよ」 

さな「やっぱりそうなんですね…」 

こころ「あれから何かあったかわかる?」 

さな「それが―――――」 

こころ「そっか…そんなことが…」 

こころ(いろはちゃんがショックを受けるのもわかるよ…) 

こころ(でも、なんだろう…違和感があるような…) 

こころ(いつものいろはちゃんならすぐ立ち直ると思う) 

こころ(むしろ誤解を解くためにがんばるはず) 

こころ(なのに取り乱して突然消えるだなんて…) 

こころ(いろはちゃんは何か普通じゃなかった…?) 

こころ「……いろはちゃん、魔女か何かに操られてるんじゃないのかな?」 

さな「それは私も考えました…みふゆさんの話を聞く限りかなり取り乱してたみたいですし…」 

さな「でも魔女なら魔力を感じれるはずですけど…」 

こころ「そっか…魔力すらわかんないんだもんね」 

さな「はい…」 

こころ「突然消える…うーん…まさらの魔法みたいだけど…」 

こころ「透明……」 

こころ「!」 

さな「どうかしましたか?」 

こころ「今は心が繋がっててすぐバレるからしなくなったけど」 

こころ「まさらが前によく姿を消して脅かしたりとか色々してたことあったんだ」 

さな(まさらさん、そんなことしてたんだ…すごく意外) 

こころ「その時のまさら、魔力まで消せるようになってたからほんとどこにいるのかわからなかったんだよね」

こころ「でも何かを感じて『まさら大好き』って言ったりしたらすぐそばで動揺してるのが魔力でわかったりしたんだけど」 

さな(え…もしかしてノロケ話聞かされてるのかな…?) 

こころ「逆に言うと、そうでもしないとまさらがいるのかいないのか本当にわからなかったんだ」 

こころ「だから何回かまさらがいないところで『まさら大好き』とか言っちゃったし…」 

さな「あ、あは…」 

こころ「ってそんなこと今はどうでもいいよね!そうじゃなくって、今思ったのが」 

こころ「まさらみたいな魔法が使えるなら、ひょっとすると結界ごと消せるのかも…?」 

さな「結界ごと透明に…?」 

こころ「うん、いろはちゃんやういちゃんを結界に閉じ込めて透明になってる…とか」 

さな「!」