こころ「根拠はないし私の思い付きだけどさ」

こころ「いろはちゃんはみふゆさん達の前で突然消えちゃって」

こころ「ういちゃんはさなちゃんの前で姿を消したんだよね?」

さな「…はい…本当にちょっと目を離しただけで…」

こころ「なら、消えたと言うよりも、その場にあった透明の結界に閉じ込められちゃったのかも…?」

さな「透明の結界…」

こころ「それなら、いろはちゃんやういちゃん自信の魔力はあっても」

こころ「その結界のせいでシャットアウトされてるのかもしれないし…」

さな「……」

こころ「あ…で、でも全然間違ってるかもしれないよ?」

こころ「ただ、まさらの魔法のこと考えたら頭に浮かんできただけで……」

さな「…私も…透明人間ですから…わかるかも」

こころ「!」

さな「私はどこにも居場所がなくて、消えたくて消えたくて…」

さな「そう思ったから透明人間になったんです」

こころ「……」

さな「魔法少女になってしばらくはひとりぼっちで…」

さな「そこでアイちゃんと友達になって…それで…」

さな「それで、いろはさんに見つけてもらって」

さな「仲間に入れてもらえて」

さな「みかづき荘に迎え入れてくれて」

さな「私達が洗脳されてしまった時も助け出してくれて」

さな「そうやってひとつになっていったんです」

こころ「…うん、そうだね」

こころ(みかづき荘のみんなも…ううん、みかづき荘が一番大変だったんだ)

こころ(やちよさんもそうだけど、いつも中心にいたのがいろはちゃん)

こころ(私達の神浜がこうして平和を取り戻せたのも)

こころ(いろはちゃんをはじめとしたみんながいたから…)

さな「もし、あの時いろはさんが見つけてくれなかったら」

さな「私は魔法少女からも、アイちゃんからも…」

さな「誰からも見れないひとりぼっちの透明人間になってたかもしれません…」

さな「生きてるのか死んでるのか、それもわからないくらいに…」

こころ「さなちゃん…」

さな「魔法少女からも観測できない透明の結界…」

さな「もしそれが本当にあるとしたら…」

さな「私の魔法でなんとかできるかもしれません」

こころ「!できるの?」

さな「試したこともないからわかりませんけど…」

さな「私の透明になる魔法を逆流させれば…」

こころ「透明な結界が見えるようになる…!」

さな「そしたらそこにいろはさんとういちゃんがいるのかも…!」

こころ「うん!やってみようよ!」

さな「はい!」

こころ「じゃあ…みたまさんにお願いしてみなきゃ!」

さな「そうですね…!」

その頃

十七夜「!」

ももこ「ん?何かあったのか?」

十七夜「声…いや、違うな」

ももこ「?」

十七夜「悲しみ…怨み…その感情がどこからか溢れ出している」

ももこ「え?そ、そうかな…」

十七夜「……ふむ」

十七夜「最近、自分の読心は暴走気味だったが…」

十七夜「心の声ではなく、感情も僅かに感じ取れるのかもしれん」

ももこ「な、なるほど…」

十七夜「…ほんの僅かな感情しかわからないが…」

十七夜「とてつもない悲しみと…これは…」

十七夜「激しい…憎悪…か…」

ももこ「憎悪…」

十七夜「紅晴結菜のあの殺意…あれと似ている」

ももこ「げ…」

十七夜「いや…それ以上か…わからん」

ももこ「な、なんでそんな感情が…」

十七夜「……」

ももこ「どこからなんだ?」

十七夜「入り交じっていて特定は難しいが…」

十七夜「この周辺であることには違いない」

ももこ「マジか…」

十七夜「だが…」

ももこ「ん?」

十七夜「いや、なんでもない」

十七夜(まさかとは思うが…いや、違うだろう)

十七夜(…違っていてくれ…)

ももこ「……」

ももこ(まさか…冗談だよな…?)

ももこ(あの時の殺意以上なんて…)