みかづき荘ベランダ

うい「……」

さな「ういちゃん、寒くない?」

うい「あっ、うん、大丈夫」

さな「…いろはちゃんとやちよさん、どこまで飛んでいったのかな」

うい「きっと神浜中を飛んでるんだよ」

さな「ふふ、そうかもね」

うい「……」

さな「…ういちゃん」

うい「お姉ちゃん…いつもわたしより高いところに行っちゃうの」

さな「!」

うい「お姉ちゃんはいつだってものすごく優しいし、今でも世界で一番大好きだよ?」

うい「でもわたし…いつもお姉ちゃんにもらってばっかりで…」

うい「お姉ちゃんに何も恩返しもできないし、横に並ぶこともできない…」

うい「こうやって…お姉ちゃんが羽ばたくのを見るだけしか…」

さな「…私は血の繋がった兄弟はいないけど…」

さな「…たしかに兄と弟はいたよ」

うい「!」

さな「二人とも優秀で…私だけ何の取り柄もなくて…」

さな「二人は私のこと妹ともお姉ちゃんとも思ってないと思う」

さな「私だって、こうして家出して戸籍も変えて…縁をきったつもりだけど…」

さな「それでも…兄弟は兄弟だよ」

うい「…」

さな「いろはちゃんはあまりにも大きすぎるからね」

さな「私もやちよさんも…みんながいろはちゃんに救われたの」

さな「だからみんないろはちゃんが大好き…でもね?」

さな「それと同じくらい、みんなはういちゃんにも救われたんだよ」

うい「えっ?」

さな「キモチとの戦いや魔法少女との戦い…いろんなことがあったけど」

さな「ういちゃんは一番小さいのに、私なんかよりもずっとずっと活躍してくれて」

さな「いろはちゃんと同じくらい…ううん、もしかするとそれ以上に」

さな「今の平和な神浜を取り戻してくれたのは、ういちゃん」

さな「私はそう思うよ?」

うい「…」

さな「私には、ういちゃんもすごく大きくて高いところにいるように見えるかも」

うい「そんなこと…」

さな「だからね?ういちゃん」

さな「無理にいろはちゃんに追い付こうとしなくてもいいんじゃないかな?」

うい「!」

さな「いろはちゃんだって、やっとひとつの答えをだしたばかりなんだもん」

さな「ういちゃんも、これからういちゃんのペースで答えを見つけていけばいいよ」

さな「その答えが、いろはちゃんに追い付くことなのか」

さな「何かからみんなを守ることなのか」

さな「それとも、誰か大切な人を見つけることなのか…」

さな「それは誰にもわからないと思う、今はね?」

さな「だからこれからそれを探していこう?ゆっくりでいいから」

さな「私も…うん、やっぱりいろはちゃん達を見守る以外にも何か見つけなきゃ」

さな「だから一緒にがんばろう?」

うい「…うん!」

さな「ふふ、ありがとう」

うい「……さなさんも」

さな「ん?」

うい「さなさんも大きいなぁ…」

さな「え?私…?私はそんなことないよ…?」

うい「さなさんとフェリシアさん、すごく大きくなったように見えるもん」

さな「フェリシアさんは大きくなったね」

さな「でも私は…?」



鶴乃「…一番成長できなかったのは私だよね」

フェリシア「もうそれいいだろ?」

鶴乃「…うん!やっぱり負けてらんないよ!頑張らなくっちゃ!」

フェリシア「まずは50点の味からだな!」

鶴乃「何をー!…いや、たしかにそうかも」

フェリシア「味見はいつでもしてやるからな!」

鶴乃「太っても知らないよー?」

フェリシア「大丈夫だって!」