こころ「…それじゃあ、登ろう?」
まさら「ええ」
こころ「ね、まさら…あの時のこと覚えてる?」
まさら「もちろん、忘れるわけないわ」
こころ「そっか…ふふ、ありがとう」
まさら「あの日は私にとって……一番の…」
こころ「えっ?」
まさら「……大切な想いでだから」
こころ「!…うん!私もだよ!」
まさら「こころ…」
こころ「じゃあ行こっ!」
まさら「うん」
こころ「まだそんなに前じゃないのに、もうずっと前に来たような気がするよ」
まさら「そうね…なんでだろう」
こころ「不思議だね、あれから色々あったからかな…」
まさら「…うん、色々あった」
こころ「まさらにはいつも助けてもらったばかりだもん、あの時だってそうだった」
まさら「そんなことない、私の方が助けてもらってる」
こころ「えっ?そうかな?いつも私がやられちゃって、まさらがなんとかしてくれてばっかりだもん…」
まさら「そうかもしれないけど…助けられたのは、私」
まさら「あなたはいつも私を照らしてくれるから…」
こころ「照らす…?」
まさら「こころは私にとって…たった一つの道標」
こころ「道標…?私が…?」
まさら「うん…私はいつもこころの背中を……」
こころ「……」
こころ(どういうことだろう…)
こころ(道標……?)
こころ(……私にとってまさらは…道標、かな…?)
こころ(……わかんない…)
こころ(やっぱり…私の片想い…)
こころ(片想いなのかな…)
こころ(どうしよう…もし片想いだったら…)
こころ(どうやって降りればいいのかもわからない…)
こころ(…まさらは優しいから、嘘で付き合ってくれるかもしれないけど…)
こころ(でも…そんなんじゃ……)
まさら「……っ…」ギュゥ…
こころ「!」
こころ「まさら、大丈夫?疲れた?」
まさら「ううん、疲れてない」
こころ「でも苦しそうだよ…?」
まさら「…息切れとか、そう言うのじゃないから大丈夫」
こころ「…苦しかったら言ってね?無茶しちゃだめだからね?」
まさら「うん…」
こころ「私が側にいるから大丈夫」
まさら「……うん…」
こころ「寒くない?」
まさら「……こころっ」
こころ「なに?」
まさら「………ううん、なんでもない」
こころ「……そっか」
まさら「……」
まさら「………っ」ギュッ
いつも胸に溢れてる あなたへの想い
永遠はないから 今は傍にいてほしいの
伝えたい言葉 探して見つからないまま
あなたの背中を 追う日々が意味もなく過ぎてく
勇気を出したなら 未来は変わるのですか
夢見た日々じゃないなら むしろこのままでいいの…
触れた指先に残る あなたのぬくもり
つつみこむ手のひら 胸に揺れる想いはなに?