こころ「で、でも…本当にいいの…?」

まさら「何が…?」

こころ「私…前の私とは一応人格が違うから…」

こころ「ある意味二股になるような…?」

まさら「え??」

こころ「だ、だって、あなたにとっての私は二人目のこころでしょ?」

こころ「そしたら、一人目の私と二人目の私の二股にならないかな…?」

まさら「さ、流石にそれはならないような…?鹿目さんのように実体が複数あるならともかく」

まさら「身体は一つだし、あくまでも人格が少しだけ違うだけなんだから…」

まさら「それに記憶が戻れば、今のあなたと元のあなたとの人格がミックスするとすれば」

まさら「別に二股にはならないはずよ…?」

こころ「そ、そうだよね!?違うよね!?」

こころ「ごめんね?変なこと言っちゃって…」

まさら「いえ…でもどうしてそんなことを?」

こころ「いや…だって、私…元の私にすごく嫉妬してるから…」

こころ「元の私も、私に嫉妬するんじゃないのかなって…」

まさら「ど、どうかしら…そもそも元のこころが目覚めればあなたは元に戻るだけなような…」

こころ「あ…そ、そっか…あれ?じゃあ記憶が戻ったら私は私じゃなくなる…??」

まさら「え…?あくまでも“加賀見まさらの記憶を無くした”と言う部分だけがなくなるだけなんじゃ…?」

こころ「そうだよね?そうだよね?なんか頭がこんがらがっちゃった…」

こころ「あれ?むしろ記憶が戻ったら、好きって感情が二乗になってとんでもないことになるんじゃ…?」

こころ「だとしたらどうなっちゃうんだろ…??」

こころ「ん〜…???」

まさら(もう私のことは好きなのが前提なのね)

まさら(まぁ…さっき私が黙っていたら、もう私に告白しかねない勢いだったものね…)

まさら(それは嬉しい。嬉しいけど…)

まさら(真っ白な今のこころに、元のこころの記憶をコピーしたようなものだから)

まさら(それで好きになってもらうのは…何か違うと思う)

まさら(改めて1から私はこころに好きになってもらわなきゃ)

まさら(それができなきゃ、私にこころの運命の人を名乗る資格はないわ)

まさら(でも必ず…!)

まさら(必ずこころを…!!)

“まさら”

まさら「え?」

こころ「うーん…うーん…」

まさら(……気のせいよね?今は名前を呼ばれた気がするけど…)

まさら(こころは考え事をしているし……)

“まさら”

まさら(………?)

こころ「むむむ…」

まさら(……やっぱり違う)

まさら(でも、ここには私達しかいないのだし他の誰かと言う線はないわね)

まさら(じゃあ…?)

まさら(……………)

まさら「……あまり難しいことを考えても仕方ないわ」

こころ「ん?あっ、そうだね」

まさら「あっ…ええ」

こころ「うん?」

まさら「いえ、えっと…それよりも…改めて自己紹介からはじめる?」

こころ「え?」

まさら「だって、1からスタートするのだし」

こころ「そ、そうだけど、別にあなたのこと何も知らないわけじゃないから…?」

こころ「んー、でも…うん、そうだね、改めて自己紹介からやってみよ?」

まさら「ええ」